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健康コラム

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便秘の原因と解消法

医療法人社団 こころとからだの元氣プラザ

産婦人科医 小屋松 安子

(元氣プラザだより:2024年4月号)

多くの方が悩んでいる「便秘」。肌荒れや腹部の不快感などを引き起こすため、なんとなくすっきりしない気分で日々を送っていることはありませんか?
今月は、そんな 便秘の原因と解消法についてお伝えいたします。

“便秘”とは?

日本内科学会の定義では、便秘とは「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」となっています。
しかし、人の排泄習慣はさまざまで、摂食量や環境によっては相当長く排便がなくてもまったく不快を感じないこともあるため、一般には「排便困難感、残便感」の自覚があれば便秘と捉えられます。

便秘の原因を知ろう!

便秘は、腸の形態・構造的異常から起こる「器質性便秘」と、腸の排泄機能の異常から起こる「機能性便秘」の2つに大別されます。まずは、摂食から排便するまでにかかわる消化管の構造と運動機能について把握しましょう。

消化管構造

1. 口腔~胃
口腔では十分に食物を咀嚼、撹絆し、胃では消化酵素により分解します。
よく噛む習慣がないと、この消化のスタートからつまずくことになります。

2. 十二指腸~空・回腸
約5~6mある小腸では、4~5時間かけて摂食量の80%以上の水分と炭水化物、タンパク質、脂肪を分解、消化吸収します。
この部分でうまく便の水分がコントロールできないと下痢・便秘のいずれかをきたします。

3. 大腸~結腸
栄養分が消化吸収された食物の残りを、適度に水分を再吸収しながら便として形成する、約2mの腸管です。
ここには約100種類、100兆個もの細菌がいて、最近よく話題になる“プロバイオティクス”(人体によい影響を与える微生物、または、それらを含む製品、食品のこと)にかかわるビフィズス菌のような善玉菌は、有機酸の産生、ビタミンBの合成さらにはナチュラルキラー(NK)細胞やマクロファージという免疫関連細胞の活性化を促しており、これらが腸の排泄機能や免疫力に大きく関与することがわかっています。

4. 直腸~肛門
消化管のゴールで、便が到達すると神経が感知して肛門内圧を上げ、排便させます。
痔などによる直腸周囲の損傷、ストレスや自律神経作用薬・鎮痛剤等の使用、加齢・出産等でこの反射神経が鈍くなったり、筋力が弛緩していると便秘の原因となります。

腸管運動

1. 蠕動運動
腸が前後で伸縮を繰り返して、腸管内に溜まった内容物を肛門側へ送り込む動きです。

2. 分節運動
腸が同一部位で腸内容物を撹拝するように拡張・収縮する動きです。これらの運動は、大脳・脊髄神経からの命令で腸管が反射することで起こります。
この命令を促すのが、目覚めて起き上がり、活動を始めることで起こる「起立反射」、そして胃に入ってきた食物で刺激され起こる「胃一直腸肛門反射」です。
このため、朝、気持ちよく起きて規則的に朝食を摂る人と、ぎりぎりまで寝て、何も摂らずに出かけてしまう人では、1日の始まりから腸の活性化、排便力に差が生じることとなります。
最近増えている「過敏性腸症候群」は、ストレスや自律神経失調などが原因で、反射命令と腸管運動が弱まると考えられる機能性便秘の代表疾患であり、生活習慣の改善や休養が治療の第一歩とされています。

以下に該当する項目があれば、消化器の検査・診療を受けてみましょう!

・腹痛、吐き気、発熱などを伴う便秘がある
・腹部が硬く抵抗感がある、しこりがある
・白っぽい便がでる
・黒っぽい便がでる
・粘血液や血便が出たり、下血する
・体重減少、食欲の低下がある
・誘因なく急に便秘になり、生活習慣に注意しても改善しない

便秘にかかわる病気

何らかの疾患のために、二次的に便秘が症状として現れることもあります。
甲状腺機能低下症、子宮筋腫等の骨盤内腫瘍、尿路結石等の消化管以外の疾患が原因のこともありますし、腸ポリープ、腸閉塞、大腸がんのような腸そのものの疾患が原因の場合もあります。
明らかな実証はありませんが、大腸がんは、便秘により腸内に悪玉菌が増殖し、炎症や胆汁酸を生成することが発生の誘因になるのではないかという説もあります。

逆に、便秘が続くと起こりやすい病気としては、いきむことからきたす高血圧や脳卒中、腸内の腐敗ガス、有害物質の発生から起こるアレルギー、肌荒れ、倦怠感、硬い便や肛門うっ血による痔等があげられます。
上のチェックリストの項目に該当する症状があれば、一度は消化器の検査・診察を受ける必要があるでしょう。

まずは生活習慣を見直そう!

まずは生活習慣、食事内容の見直し、改善のための努力をすることが必要です。朝の起床後は、先述したように反射がもっとも誘発されやすいので、極力ゆとりをもって起きて適度な食事を摂り、トイレに行く時間を確保する習慣をつけましょう。

また日ごろから運動や入浴によって血行を促進し、排泄神経を鈍らせないよう、便意を感じたらなるべく我慢しない、ストレスを避けて自律神経を乱さない、といった心がけが重要です。食事内容としては、十分な水分と、可溶性繊維(野菜・果物・海藻等)や発酵食品(ヨーグルト・納豆等)を、生活スタイルに合わせて規則的に摂取して、腸のリズムを適切に保つことが望まれます。

それでも不快な便秘をきたすようなら、現在は便秘の種類に応じて種々の緩下剤がありますので、適した薬剤を選択するよう、薬局や病院で相談してみましょう。

便秘は女性に多い?

便秘で悩む男性はあまり多くないようですが、“便秘で困ることが結構ある”という女性はかなり多いようです。
便秘だけではなく、下痢や腹鳴といった機能性の腸トラブルは、女性のほうが男性の20倍近くも多く発生するといわれています。

理由としては、女性特有の身体構造とホルモン変動が考えられています。
女性は骨盤が大きいため、腸の大部分は広い容積をもつ骨盤内で、あまり固定されずに存在していることになります。
このため、停滞しがちな便が硬くなったり、ガスを発生しやすくなり、さらには男性よりも排泄させる筋力が弱いため、便秘になりやすいのです。

また、排卵後に分泌されるプロゲステロンという女性ホルモンは、体内に水分を貯留させようとする働きがあるため、腸管から水分を吸収してしまい、便を硬くしてしまいます。
ところが月経前後には、子宮内膜から放出されるプロスタグランジンという物質が、腸を過剰に蠕動させるため、下痢を生じる女性も多いようです。

便秘は厄介なものですが、女性としてはありがちなことと理解して、上手に解消策を講じましょう。



自分の腸内を知ることも対策の一つです。
当法人では人間ドックのオプション検査で腸内フローラ検査をご受診いただけます。

ご精読ありがとうございました!

施設のご案内
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