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健康コラム

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かぜとはどのような病気でしょうか?

医療法人社団こころとからだの元氣プラザ

名誉所長 内科医 髙築 勝義

かぜとはどのような病気でしょうか

風邪:正式には「かぜ症候群Common Cold Syndrome」といいます。


主として上気道すなわち鼻腔・咽頭・喉頭に起こる感染症で、原因のほとんどは各種のウィルスによるものです。


症状としては、鼻汁(鼻みず)・鼻閉・咽頭痛・嗄声(声枯れ)・咳嗽・喀痰などの 呼吸器症状の他に、発熱・頭痛・全身倦怠感(だるさ)・食欲不振などの全身症状など、これら全てまたはいくつかの症状を呈するもので、検査をしても顕著な異常はなく、多くは1週間程で自らの免疫力により治ります。


原因となるウィルスとしては、鼻かぜなど軽い症状のライノウィルスが成人では多く、その他、コロナウィルス(新型肺炎SARS重症急性呼吸器症候群ウィルスもこの一種)、パラインフルエンザウィルス、インフルエンザウィルス、アデノウィルス等が主たるものです。


ウィルスが粘膜に付着し障害をおこすことから始まるのですが、ライノウィルスは障害性が弱く、アデノウィルスやインフルエンザウィルスなどは粘膜上皮細胞への障害性が強く、その結果2次的な細菌感染の合併頻度も異なります。


※ 症候群(シンドローム)・・・ 種々の原因で同一の病態を呈することがある状態を指します。


かぜは万病のもと

体力とウィルスの種類にもよりますが、アデノウィルスやインフルエンザウィルス などでおきた場合、粘膜の障害性が強く、細菌による2次感染を起こします。副鼻腔炎や、鼻から中耳に通じる耳管に炎症が及ぶと中耳炎を起こすことがあります(特に、小児では、耳管が未だ短いため起こしやすいので注意が必要です)。 扁桃が化膿して腫大すると、のどの痛みとともに、物が飲み込みにくくなります。


また、このような炎症をくりかえすと、遠く離れた腎臓を悪くすることが時にあります(病巣感染)。


ウィルスの力が強ければ(例えば、インフルエンザウィルス)、高齢者では時に肺炎を起こし、命にかかわることもあり、小児では脳症につながることもあります。


風邪の入り口である鼻や口は、病原体の主たる入り口であり、口鼻は災いのもととも言えるでしょう。 特に病気の原因がわからなかった昔は、熱がある、寒気がする、食欲がない、 頭痛がするなどの症状があると、風邪だろうと患者さん自身も思い、医者も風邪ですませることが多く、誰にも「葛根湯」を処方する葛根湯医者が落語にもなっているくらいです。


ところがなかには単に風邪ではなく、急性肝炎であったり、腎臓の病気であったり、脳の炎症であったりと多くの病気のはじまりが、いっけん風邪と思われがちなことからも、「風邪が万病のもと」と言われるようになったのではないでしょうか。


はじめから単なる風邪ではなかったとも考えられます。


風邪から続発する病気

3、4日ないしは1週間程度で単なる風邪なら治まり、症状の中で最も長引く可能性のある「せき」が、日を追って軽くなって行けば、問題はありません。中には、「せき」が治まらず、否、よりひどくなり、熱も続き、息苦しいようだと、気管支炎から肺炎をおこしていることも考えられます。 特に、高齢者では発熱が目立たないことがあり、見過ごされ肺炎で命を落とす危険性があります。また、誤嚥性肺炎は要注意です。


小児では、鼻の炎症が耳管を経て、中耳に炎症が及び、中耳炎になってしまうこともあります。また、簡単なウィルスではなくて、インフルエンザウィルスが原因であった場合には、脳症をひき起こすことも考えられます。 加えて、黄緑色の鼻汁(はな)が引き続き長くでるようですと、副鼻腔の慢性炎症(蓄膿)も懸念されます。


それらの病気の特徴・症状

扁桃炎

扁桃はのどの入口の左右に、門番のように立っているアーモンド状のリンパ組織で以前は扁桃腺と言っていたものです。これは外からの病原体を入口でくいとめる働きをしています。ウィルスで傷めつけられた後、細菌による2次感染でここが激しい炎症の場になると、大きく腫大し炎症で赤くなり、処々に膿が付きイチゴ状になると、高い熱が出て痛みがひどく場合によっては飲食が出来にくくなります。治療には水分を補いつつ、点滴で抗生物質を使い細菌感染の治療を強力に行う必要があります。


中耳炎

「かぜ」をひくと、耳が塞がった様な耳閉感を伴うことがあります。これは外耳と中耳の気圧調整をしている耳管に炎症が及んでいるためです。 耳管の短い小児では、中耳に炎症が達する危険性が強いため、抗生剤で細菌による2次感染を治療する必要があります。放置すると中耳炎となり、中耳に膿が溜り激しい痛みを生じ鼓膜が破れ耳だれを起こすことがあります。


蓄膿(慢性副鼻腔炎)

頭蓋骨には空所が処々にあり、例えば「ほお骨」の中には上顎洞があり、声を反響させるのに役立っていますこの洞と鼻腔の間には孔があいており炎症が中に拡がって行くと副鼻腔炎となり、治療をせず、慢性化すると蓄膿になります。 この場合は耳鼻科的処置と抗生剤等によりきちんと治療し、濃い鼻汁が出続けないように注意することです


肺炎

咳・熱が2週間近く続き、自覚的に改善しているよりは悪化が疑われ息苦しさを伴うようなら、病気が奥の院まで達し肺炎を併発している危険性があります。高齢者は、特に注意が必要で入院治療を要することが多々あります。

肺炎球菌ワクチンがありますから、65歳以上の人はうっておくと予防になります。5年間は肺炎球菌に関しては効くと言われています。但し全ての肺炎予防ではありませんので、誤解のないようにしましょう。またこれは再度5年後にうつことも可能です。

最近は5年ごとにうつ必要のない効果の長い肺炎ワクチンも有りますが自己負担です。インフルエンザウィルスでは、肺炎にも用心しなければなりません。また、マイコプラズマ感染症があります。マイコプラズマはウィルスではありませんが、学童が罹りやすい肺炎の主原因で、高熱と痰のない咳が特色です。


脳症

インフルエンザなどでは脳症になることがあり、1~2歳児が最も多く また強い薬などであまり急激に熱を下げ過ぎるのは脳症を起こしやすく、頭を冷やしたり解熱薬もおだやかなもの(アセトアミノフェンなど)が推奨されます。吸入によるリレンザ、イナビルが効けば解熱剤は必要ありません。


病気の予防・治療

医療機関にかかるタイミング

・大人であれば、いつもの軽いカゼとは異なると感じた時。

・10日以上強い症状が続き、変わらないかいわば増悪している感じのある時。

・高齢者では、元気のなさ、食欲減退など、「いつもと違う」時には注意し、肺炎でも高熱が出ないことがあることを念頭におきましょう。

・小児では、元気がなく飲食がすすまず特に水分が十分にとれない時は、脱水に注意し医師に見せる方が良いでしょう。また、前記の様に、2次感染の疑いが強ければ、積極的治療が必要です。 「いつもと違う」時には、注意が必要です。


解熱剤

一般的に症状がひどくなれば、鎮痛・解熱も考えますが、頭を冷やすなどで、乗り越えられれば、しいて使う必要はありません。

小児で、頭を冷やすなどの対応で、治まればよいのですが、高熱のため「熱性けいれん」を起こすことがあり、親は驚かされます。医者に診せる時には、治まって いることが多々あります。(発熱も生体の防御反応の一つです―過信してはいけませんが) 解熱薬は使わず、使うとしてもおだやかなもの(アセトアミノフェンなど)が奨められます。


抗生剤

ウィルスには効きません。4~5日経って改善が見られず、2次的に細菌感染が疑われる場合には、使用も考えるべきでしょう。


一般市販薬

対症療法が目的であり、 鼻汁・頭痛・軽い咳などが気になるようならば使うのもよいでしょう。結局は体力で治すことを忘れず、休養・栄養摂取を第一に心がけましょう。 小児では使わないほうが良い薬もありますので、注意が必要です。


完治の見極め

不愉快な諸症状がなくなることですが、咳は時々、長引くことがあります。それも徐々に強さ、頻度が下がってくれば、完全に消失しなくても治まったと思ってよいでしょう。2週間以上続く咳は要注意といいますが、これは強さも頻度も変わらないか考えようによっては悪化している場合のことです。

風邪予防の心がけ

我々はカゼのウィルスの中で生活しており、いつ感染してもおかしくないのです。

結局、カゼにかかってしまうのは、ウィルスと体との力関係が逆転した時です。


日頃から体力づくり・維持に心がけ、疲れ・睡眠不足・不規則な食事・過度の飲酒・気のゆるみなどに注意し、ウィルスを持ち込まないように、うがい・手洗いを頻繁に行い、人ごみの中ではマスクをするようにしましょう。運悪くウィルスにとりつかれたら、なるべく早いうちに(ちょっとのどが変だ、鼻の奥が少し痛い、クシャミが連発するなど)対応することです。


私は、葛根湯を手元に置いて、すぐ飲むようにしています。 「クシャミ 一発 葛根湯」薬の宣伝をしているつもりはありませんが。


(元氣プラザだより:2021年11月号更新)



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