腸を整えて、明日を変えよう。~腸内フローラが導く健やかな毎日
医療法人社団 こころとからだの元氣プラザ
統括所長 中村 哲也 監修
(元氣プラザだより:2026年1月号)
腸は食べ物を消化するだけでなく、免疫やホルモン、肌や心の健康にも関わる重要な器官です。その働きを支えているのが、腸内に住む「腸内フローラ」。このバランスが体全体のコンディションを左右するといわれています。今回は、腸内フローラの仕組みと、日々の生活でできる腸活のポイントをご紹介します。
腸内フローラ(腸内細菌)とは
私たちの腸内には多くの細菌=腸内細菌が住んでいます。種類でいうと約1,000種類、数では100兆個ともいわれています。腸内細菌が多く存在しているのが、小腸から大腸にかけての腸の壁です。ここには腸内細菌が種類ごとの塊になってびっしりと貼り付いており、その様子が品種ごとに並ぶお花畑(フローラ)のように見えることから、「腸内フローラ」と呼ばれています。(医学的には“腸内細菌叢(さいきんそう)”と呼ばれます。「叢」とは草むらのことです)
細菌は一般に免疫の働きにより異物として体外に排出されますが、腸内フローラをつくる細菌は「体内で共存できる細菌たち」です。これらは、消化吸収の促進、ビタミン類などの生成、免疫機能の調整、腸と脳との連携などの役割を担っています。
腸内フローラをつくる細菌
腸内細菌には大きく3つの種類があります。一つ目は体に良い作用をもたらす善玉菌、二つ目は数が増えすぎると体に害をもたらす悪玉菌、三つ目はその時の状況によって良くも悪くもなってしまう日和見菌です。

腸内フローラの各菌の理想的なバランスは、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7 といわれています。
腸内を弱酸性に保つ善玉菌は、アルカリ性を好む悪玉菌を排除してくれます。弱酸性の環境を維持し続けるためには、善玉菌を優勢にし、日和見菌を味方にすることが必要です。反対に悪玉菌が優勢になると日和見菌は悪い方へ傾き、悪玉菌と同じ働きをします。つまり、腸内環境をうまくコントロールすることが大切なのです。
なお、悪玉菌にも存在意義があり、全くゼロになると善玉菌がうまく働かず、消化・吸収の働きに支障をきたすことが分かっています。

腸内フローラは変動する
腸内フローラを構成している菌の種類や組み合わせ、量は人によって異なることがわかっています。これは、住んでいる場所や民族、生活習慣などによって特徴が異なるからです。また、胎児の腸管は無菌ですが、出産時に産道で母体に共生する細菌の影響を受け、離乳期ごろまでに住みついた腸内細菌がその人の生涯の腸内フローラの中核になるといわれています。その後は継続的な食習慣の変化や、抗生剤の連続(大量)投与などの要因が無ければ、固有の腸内フローラは持続します。ただし、日々の変動や老化あるいは健康状態による変動もあります。
腸内フローラのバランスを乱す要因
善玉菌の数が減るか、悪玉菌が異常に増えて腸内フローラのバランスが乱れている状態を「ディスバイオシス」と呼んでいます。その要因としてよく知られているのが食習慣の乱れであり、ほかにも運動不足、便秘、細菌感染、睡眠不足、加齢、ストレスなどがあります。また、さまざまな病気の人の腸内フローラがディスバイオシスになっていることも分かっており、腸内フローラのバランスを整えておくことで、多くの病気を予防できる可能性があることを示しています。

日本消化器病学会「消化器どうしました?Q&A」より引用
腸内フローラのバランスを整えるには?
ディスバイオシスになる要因を避けること、つまり大きな要因となる食習慣を整えることから取り組むのがよいでしょう。1日3食バランスのよいものを規則的に摂ることが第一ですが、それに加え、2つの方法で善玉菌を増やしていくことができます。
●善玉菌を含む食品を摂る
生きた善玉菌を直接摂取することを「プロバイオティクス」と呼びます。基本的に食べたものは胃酸の影響を受けるため、生きたまま腸まで届くことが必要です。具体的には、ビフィズス菌、乳酸菌、麹菌、納豆菌などがこれにありますが、これらの菌は腸内で増殖するわけではないので、定期的に一定量摂取することが効果的です。
●善玉菌のエサになる成分を含む食品を摂る
これを「プレバイオティクス」と呼びます。具体的には食物繊維やオリゴ糖のことで、胃酸や小腸での吸収などの影響を受けず腸まで届き、善玉菌のエサとなります。
「プロバイオティクス」+「プレバイオティクス」のメニューもおすすめです。

自分の腸内フローラと向き合ってみましょう
全身の健康の要ともいえる、腸内フローラ。バランスを整えるには、善玉菌を含む食品やそのエサとなる食材を取り入れ、日々の生活を意識的に整えることが大切です。
当法人では、人間ドックのオプションとして「腸内フローラ検査」をご用意しています。自分の腸内環境をスコアで確認することで、より効果的に腸活・健康づくりへ役立てることができます。
腸を整えることで、体の内側から健やかな毎日をつくり、明日の自分を変えてみませんか。