睡眠と健康
医療法人社団 こころとからだの元氣プラザ
産婦人科医 小屋松 安子
(元氣プラザだより:2023年10月号)
ようやく今夏の猛暑も過ぎ、秋の夜長の頃となりました。
そこで今回は夜と関連の深い“睡眠”のお話を取り上げてみました。
私の専門領域である産婦人科では、更年期に不眠をきたすことが多く、加齢やホルモン変化も一因と推定されていますが、年齢とともに男女問わず睡眠時間が短くなる傾向についての明確な理由はまだ未解明です。
現代社会において年々蓄積していく仕事・社会の責任荷重、家庭では育児・介護などの悩み、そして若い時よりも増えていく心身の病気、などなどストレス要因は静まり切った夜にはついつい悶々と思い浮かびやすく、また排尿機能の衰えから夜間頻尿による途中覚醒もきたしやすくなるため、まとまった睡眠が得られていない方は多いようです。
睡眠時間と肥満との関連
近年、睡眠時間は長すぎても短すぎても肥満や生活習慣病をきたしやすくなることが判明してきました(図1)。
睡眠時間が短いと・・・
↓
ストレスが増し自律神経バランスが乱れる
↓
食欲抑制ホルモン(レプチン)の分泌減少・食欲増進ホルモン(グレリン)の増加
↓
体重コントロール不良・糖尿病発症等による二次的不眠の悪循環生活
ベストな睡眠時間は7時間とされ、この確保のために是非の睡眠ポイントをご参考に、安らかな夜をお過ごしください。
肥満を防ぐための睡眠ポイント
・睡眠時間はもっとも内臓脂肪が貯まりにくいとされる7時間前後を目標に。
・成長ホルモンが分泌しやすい午後10時から午前3時の間に睡眠時間が入るようにする。
・寝入りの3時間は、途中で起きたりしないよう、まとまった就床を心掛ける。
・眠る前の食事・飲酒は避ける(就寝後のトイレ覚醒の原因にもなる)。
・臥床後は携帯電話・スマートフォン・パソコン等の画面刺激を避ける。
ご精読ありがとうございました!