40歳を超えたら緑内障のスクリーニング検査を!
医療法人社団 こころとからだの元氣プラザ
統括所長 中村 哲也
(元氣プラザだより:2023年9月号)
緑内障は比較的多い眼の病気で、日本人の20人に1人が罹患すると言われています。緑内障で失明した方の眼が緑に見えることがあるため、緑内障と呼ばれるようになったそうです。成人の失明の原因の第1位ですので、早期に発見し早期に治療を開始することが大切です。
緑内障は、何らかの原因で視神経が障害を受けるために起こります。眼圧が高いために障害が起きることもありますが、半数以上の患者さんは眼圧が正常ではっきりした原因はわかっていません。視神経は100万本以上の神経線維が束になったケーブルのような構造をしており、それが網膜全体に分布してわれわれの視野を形成します。緑内障による障害は、最初は少数の神経線維で起こり、ゆっくりと視神経全体に拡がっていきます。
症状としては障害を受けた神経線維が支配する視野が見えなくなる(視野欠損と呼びます)のですが、われわれがものを見る時は視野の中央部分しか使用しないので、そこ以外の視野の欠損はなかなか自覚できません。緑内障が進行し視野の中央部分まで視野欠損が拡がって初めて自覚することができますが、その時点では緑内障は進行しており、視力障害を回復させることは困難になります。
したがって、緑内障は視野欠損の自覚症状が出る前の早い時期に見つけることが大切です。健康診断では緑内障のスクリーニング検査として、眼圧の測定と眼底写真撮影が行われます。これで緑内障を疑わせる所見がある場合は、眼科を受診していただき視野欠損がないか精密検査を受けることになります。
40歳以上の方は年に1回緑内障のスクリーニングを受けることをお勧めします。危険因子として近視、長時間のパソコン作業、高血圧、糖尿病、緑内障の家族歴などが知られていますので、当てはまる方はぜひ検査をお受け下さい。
ご精読ありがとうございました!