心不全(心臓機能不全)

医療法人社団 こころとからだの元氣プラザ
名誉所長 内科医 高築 勝義
(元氣プラザだより:2017年1月号)

心不全とは

心臓のポンプ機能が低下し、体の各臓器(脳、腎、肺、肝など)へ血液を十分に送り、また回収することが出来なくなった状態をいいます。

心臓が十分に収縮できない(収縮不全)ばかりではなく、十分に拡張できない(拡張不全)ためでも、心不全になります。
心臓の収縮不全の原因は、心臓の筋肉活動を維持する血流不足である虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)や、心臓の筋肉の病気である心筋症などです。

心臓の拡張不全の主因は高血圧であり、心臓が少し硬くなった状態と考えればよいでしょう。収縮不全と比べると、高齢者や女性に多くみられ、また、予後(疾患の先々の良し悪し)は比較的良好ですが、肺うっ血を起こし易く、入退院を繰り返すことがあります。

心不全の症候は軽いうちは気づかれませんが、重くなるに従って、ちょっとした坂道歩行で息切れがするようになり、脚にむくみを生じ、夜間床に入って咳が出たり、発作性の夜間呼吸困難や、半ば体を起こして呼吸しないと苦しくなる状態(起坐呼吸)になります。

心不全の重症度

心不全の重症度に関してはニューヨーク心臓協会NYHAが提唱した有名な4分類があります。
概略は次の通りです。

クラスⅠ 心疾患は有るものの、身体活動に制限はなく、日常生活で動悸、疲労、息切れ、狭心痛などがない状態です。
クラスⅡ 身体活動に軽度の制限が有るものの、安静時には症状がない状態です。日常の身体活動で動悸、疲労、息切れ、狭心痛を自覚します。
クラスⅢ 身体活動に高度な制限がつきます。安静時にはクラスⅡ同様無症状でも、日常の身体活動はより弱い動作で動悸、疲労、息切れ、狭心痛を生じるものです。
クラスⅣ 心臓疾患のため全ての身体活動が制限され、軽い労作でも症状を悪化させる状態です。

心不全にみられる組織学的所見としては、心筋細胞の肥大や線維化(肝臓でいえば肝硬変)です。

早期発見のためには

さて、症状がない初期のうちで、心不全に向かっている状態は、どうしたら探り出せるのでしょうか。心臓は自らのポンプ仕事に支障をきたすようになると、何とか仕事を全うしようとするのです。

例えば5リットルの血液を循環させているとすると、4.5リットルに減らして仕事をしようとします。そのために心臓は一種の利尿ホルモンであるBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)を血中に出して尿量を増加させ、ポンプ作用で循環させる血液量を減らし仕事を全うします。よって、心臓の力が弱れば弱るほどBNP値は増加してきます。BNP値は心臓の現状を知る一つの方法です。また、心臓超音波検査(心エコー)で侵襲を受けることなく心臓の状態が分かります。

急性心不全と慢性心不全

心不全には急性と慢性が有ります。急性心不全になる原因疾患は、心筋梗塞や不整脈そして肺塞栓(エコノミークラス症候群などで血の塊りが肺の血管を塞ぐ疾患)などです。急な血流異常により、呼吸困難になったり失神したりします。慢性心不全では、原因疾患のため、全身の臓器が循環障害を受け続け支障を来たします。

不全とはその臓器の機能が低下し、機能ゼロに向かっている状態です。例えば、腎不全は腎臓の機能が低下し、血液中に有害物や不用物が溜まり、命にかかわることになります。カリュウムが多くなると心停止になります。肝不全では有害物、例えばアンモニアを分解・解毒できないと、肝性脳症を引き起こし早晩死に至ります。

心不全も心臓の窮極の状態です。何とかここに至らないようにしたいものです。虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、不整脈、高血圧など原因となる疾患をきちんと診断・治療しておくことが大事です。慢性心不全の治療は、悪化させないことが第一になります。

 

ご精読ありがとうございました!

 

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