女性に大腸がんが増えているってホント? ~運動不足と肥満が大敵~

医療法人社団こころとからだの元氣プラザ
消化器内科医 八巻悟郎
(元氣プラザだより:2016年9月号)

女性のがん死亡率の第1位が大腸がんに

女性のがんの死因の1位が大腸がん

日本人に多いがんと言えば、胃がん。一般的にはそんなイメージがあるでしょう。しかし、それはもはや昔のこと。胃がんは年々減少していて、最近、増えているのは、実は大腸がんなのです。

統計を見ると、大腸がんによる死亡者数は、男女ともに増え続け、20年前の約2倍に。特に女性の増加率が大きく、平成15年には、がんによる死因のトップが、大腸がんになりました。その傾向は、今なお続いています。

女性の生活スタイルの変化が大腸がん増加の背景に

日本女性に大腸がんが増えた背景には、食生活や生活習慣などライフスタイルの変化があると考えられています。

例えば、食生活。大腸がんのリスクを高める要因として牛や豚などの赤身肉を多く摂る食生活が、逆にリスクを下げる要因として野菜や果物を多く摂る食生活が指摘されていますが、現代の食生活はともすればハイリスクになりがちです。

昔は、日本人の食卓に並ぶ食材といえば、魚介類や穀物、野菜が中心でした。ところが、戦後、食生活が急速に欧米化し、あまり口にすることのなかった肉類を多く食べるようになりました。また、女性の社会進出が進み、生き方が多様化するに伴って、女性を取り巻く食文化も変わりました。外食やコンビニのお 弁当などを利用する機会が多く、どうしても肉類中心に偏つたり、野菜が不足しがちになったりという方も多いことでしょう。

大腸がんの予防には、食生活の見直しが欠かせません。大腸がんのリスクを低減するには、肉類を控えめにして、食物繊維を豊富に含む野菜を積極的に摂ることが大切です。それにはカロリーが高く、肉中心になりがちな洋風の食事より、四季折々の野菜メニューが多く、魚介類を中心とした日本の伝統食の方がお すすめです。

大腸がんのリスクを確実に減らすのが運動ですまた、お酒の飲み過ぎが、さまざまな病気の原因になることはよく知られていますが、大腸がんも例外ではありません。アルコールの摂取量が多い人ほど、大腸がんのリスクが高くなるという調査結果が報告されています。量や回数を見直して、ほどほどに楽しみましょう。

食生活の偏りとともに、大腸がんのリスクを確実に高めるのが肥満です。現代人の生活は運動不足になりやすく、加齢とともに基礎代謝が落ちてくると太りやすい傾向があります。大腸がんのリスクを確実に減らすのが運動です。肥満防止のためにも健康維持のためにも、日頃から適度な運動を心がけてください。

ところで、女性の場合、大腸がんと便秘の関係を心配する人が多いようです。大腸がんが進行すると、排便時に違和感があったり、便秘になったりするケースがありますが、今のところ、ハッキリした因果関係は指摘されていません。健康のためには便秘の解消が大切ですが、大腸がんの予防には、体重のコント ロールとお酒も含めた食生活全般により気をつけましょう。

年1回の定期検診を欠かさず早期発見・早期治療を

年1回の定期検診を欠かさず早期発見・早闘治療を統計によると、大腸がんの発症率は40代から高まり、50代で急増する傾向にあります。

腸がんは、他のがんと比べて治癒率が高いがんではありますが、早期の場合は自覚症状がなく、血便以外のセルフチェックはまず無理です。症状が出た時には、かなり進行している場合がありますから、20代・30代の方でも、年1回は大腸がんの検診を受けるようにしましょう。

通常、職場や自治体で実施している検査は「便潜血検査」です。便の表面をこすり取る方法と、ステイック状の採便棒を差して取る方法があり、どちらの場合も2日間続けて採取する「2日法」が主流で尤これで便に付着した大腸からの出血の有無を調べます。なんらかの原因で出血の疑いがあり、「陽性」と判定された場合は必ず精密検査を受けてください。

精密検査は、肛門からファイバースコープを入れ、腸の内壁を見る「大腸内視鏡検査」が一般的ですが、近年では大腸を炭酸ガスで拡張させ、マルチスライスCT装置を用いて撮影する「大腸CTC検査」があります。内視鏡検査と比較して苦痛が少なく、短時間で検査ができるという特徴があります。この方法以外にもバリウムを注入してレントゲンを撮る「注腸造影検査」もありますが、共に下腹部に直接、放射線を当てるので、これから出産を考えている女性はなるべく避けたほうがいいでしょう。

精密検査の結果、ポリープが見つかるとショックが大きいと思いますが、ポリープ=がんとは限りません。切除した組織を病理検査して、良性か悪性かを診断します。

なお、個人差はあるものの、年齢を重ねるにしたがって、ポリープはできやすくなります。ポリープは、ある程度以上の大きさになると、がんを含む確率が高くなりますが、小さいうちに発見できれば、がん発症のリスクも、それだけ少なくなるのです。まずは深刻になりすぎず、病理検査の結果を待ちましょう。

万一、悪性であっても、早期の場合、他のがんに比べて治癒率が高いのが、大腸がんの特傲です。治療の技術は年々進歩しており、以前は開腹手術が必要だった症例も内視鏡で切除し、完治できるようになってきました。大きさや部位にもよりますが、日帰りで治療を受けることも、十分可能です。

また、大腸がんは、他のがんに比べて検査で発見しやすく、進行もゆるやかです。食生活と体重コントロールに気をつけ、毎年の検診を怠らなければ、がんが進んで手遅れになる状態は、ある程度、防げるでしょう。

「40歳になったらがん年齢」と意識して、生活スタイルの見直しと早期発見・早期治療を心がけてください。

 

ご精読ありがとうございました!

 

タイトル一覧へ

このページの先頭へ