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健康コラム

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風邪症状の原因となるRSウイルス。乳幼児と高齢者は特に注意しましょう。

医療法人社団 こころとからだの元氣プラザ

医師 小田原 隆 監修

(元氣プラザだより:2026年10月号)

風邪症状を引き起こすウイルスはたくさんありますが、中でも赤ちゃんから高齢者まで、生涯にわたり何度でも感染する可能性がある「RSウイルス」をご存じでしょうか。

RSウイルスとは

RSウイルスは英語で“Respiratory Syncytial Virus”(直訳すると“呼吸器合胞体ウイルス”で、培養細胞を融合させ合胞体を形成することからこの名称が付いた)と言い、頭文字をとりRSウイルスと呼びます。
RSウイルスは急性の呼吸器感染症を引き起こすウイルスで、何度でも繰り返し感染します。RSウイルスは年齢を問わず感染しますので、1歳までに約50%、2歳までにほぼ100%の子どもが感染し、多くの場合は風邪のような症状(下記)で発症します。初めて感染した乳幼児ではウイルスが肺まで達しやすく、特に生後6か月以内の乳幼児では、細気管支炎や肺炎を起こして重症化しやすいことで知られてきました。(細気管支は、気管支が肺内で分枝して細くなった末端気道です)。
一方で、大人や年長児が感染し、家族内で広がるケースも少なくありません。近年、PCR検査などの検出法が進歩したことで、高齢者の肺炎(~入院)でよく見られる原因ウイルスとなっていることも分かってきました。
RSウイルス感染症は、従来は、秋から冬に増加する感染症でしたが、2021年以降は春から初夏に増加し、夏にも流行のピークがみられるようになっています。

RSウイルス感染症の潜伏期間と症状

RSウイルスに感染すると、2~8日(多くの場合は4~6日)後に発熱や鼻水、咳などといったいわゆる「風邪」の症状で発症します。年長児や健康な成人では通常(上気道炎だけにとどまり)数日から1週間ほどで回復します。一方で乳幼児や基礎疾患をもつ高齢者などでは、喘鳴や呼吸苦などの症状もみられたり、中には細気管支炎や肺炎になる人もいます。
特に注意したいのは乳幼児です。最初は「風邪かな」と思っていても、咳が悪化したり、ゼーゼーと苦しそうな息をしたり、水分やミルク(母乳)を飲めなくなったり、重症化して入院治療が必要となることがあります。重症化しやすいのは、次のような乳幼児です。

・ 生後6か月未満
・ 早産や低出生体重で生まれた
・ 先天性の心疾患、肺疾患、免疫不全症がある
 
心臓や呼吸器などに何らかの疾患をもつ高齢者も、注意が必要です。高齢者のRSウイルス感染症は、インフルエンザと同程度に入院の原因となっており、介護施設での集団感染が発生して複数の死亡者が出ることもあります。基礎疾患がRSウイルス感染症の重症化に関与しており、特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息などの慢性呼吸器疾患、あるいは慢性心疾患なども、重症化の要因となっています。

RSウイルスの感染経路

RSウイルスの主な感染経路は、飛沫感染と接触感染の2つです。

 飛沫感染 
RSウイルスに感染している人の咳やくしゃみにより、周囲(1~2m)に飛び散ったウイルスを吸い込んだり、目や鼻などの粘膜に付着したりすることで、感染します。会話をしているだけでも、飛沫は周囲に広がるため注意が必要です。

 接触感染 
RSウイルスは、感染した人が触れたドアノブ、手すり、テーブル、おもちゃ(子どもが触れる)などの表面に付着していることがあります。そこに触れた手にはRSウイルスが付着している場合があるので、そのまま目や鼻をこすると粘膜から感染します。

RSウイルス感染症の予防と治療

RSウイルス感染症と診断できても、RSウイルスに対する特効薬(治療に使える抗ウイルス薬)はありませんので、現れた症状に対する「対症療法」を行います。たとえば、発熱に対しては解熱剤を服用する、息苦しさには酸素投与を行う、水分が摂れていなければ点滴を行う、などです。
大事なのは「RSウイルスに感染しない、重症化リスクのある方に感染させない」ことです。一般的な感染予防策(マスク、咳エチケット、手洗い、アルコール消毒も有効)をしっかり行い、体調が悪いときは無理をせず、しっかりと休みましょう。
 
最近、RSウイルス感染症の重症化予防を目的としたワクチンが使用できるようになりました。
60歳以上の方、持病のある18歳以上の方、妊娠後期の方(生まれてくる子の予防目的)が接種対象となっていますので、ワクチンでの予防をご検討ください。
「60歳以上の方へ」有効なワクチンの任意接種が可能になったのは2023年からで、その後、60歳未満でも重症化リスクの高い方には適応が広がっています。現在「60歳未満であっても」ワクチン接種の適応があるのは、慢性肺疾患・心疾患・腎臓病・肝疾患、糖尿病、神経疾患等の持病のある方、肥満(BMI30以上)の方、免疫不全の方などです。
一方、2026年4月からは、妊婦へのRSウイルスワクチンの定期接種が開始され、妊娠28週0日~36週6日の妊婦さんが定期接種の対象となりました。妊婦さんがこのワクチンを接種すると、RSウイルスに対する抗体が体の中でつくられ、胎児は胎盤を通じて抗体を受け取ることができ、生後間もない時期からの重症化予防が期待されています(入院を要するような重症のRSウイルス感染症を、生後90日の時点で約80%、生後180日の時点で約70%防ぐ効果があるとされています)。

RSウイルス感染症にかからないために

RSウイルスは広く存在し、一生のうちで何度も感染する可能性があります。日頃からの感染予防をしっかりと行うことで、感染リスクを下げることができます。
また、RSウイルス感染症には、対象者に応じたワクチンによる予防方法があります。
当法人でも、RSウイルスワクチン(アレックスビー)の接種を実施しています。接種を希望される方はお問い合わせください。

▶こころとからだの元氣プラザ RSウイルスワクチン「アレックスビー」予防接種開始のお知らせ
▶こころとからだの元氣プラザ 内科のご案内

参考資料
厚生労働省: RSウイルス感染症
国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト: RSウイルス感染症とは
国立研究開発法人 国立成育医療研究センター: RSウイルス感染症

ご精読ありがとうございました!

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