「ロコモ」を知って今から予防。いつまでも自分の足で歩くために。
医療法人社団 こころとからだの元氣プラザ
医師 小田原 隆 監修
(元氣プラザだより:2026年6月号)
「ロコモ」という言葉をご存じでしょうか。運動器の衰え・障害で、立ったり歩いたりする移動機能が低下した状態をいいます。運動器の衰え・障害はある日突然起こるものではなく、40代ごろから静かに(気づかないうちに)進行している人もいます。
「ロコモ」とは
人が生活していく中では、立つ、座る、歩くといった動作が欠かせません。こうした動作を支えているのが、骨・筋肉・関節・神経などで構成される「運動器」です。
運動器は20~30代にピークを迎え、加齢とともに機能が徐々に衰えていきます。その結果、日常動作に影響が及び得るようになった状態を「ロコモ(ロコモティブシンドローム)」と呼びます。
ロコモが進行すると、転倒や骨折、関節の病気などのリスクも高まりますし、将来的には、歩けなくなって介護が必要となる可能性があります。
高齢期になぜ「ロコモ」になるのか
「ロコモ」の運動器の衰えとは、いわゆる「足腰が弱くなる」状態であり、これにはいくつかの原因があります。
筋肉の減少
筋肉は30代頃から実は少しずつ減少・老化し、60歳をすぎるとその変化はさらに大きくなります。腕よりも足の方が、男性よりも女性の方が、その変化が大きくなる傾向があります。
(加齢性筋肉減少症=「サルコペニア」も「ロコモ」の原因です)
バランス能力の低下
バランス能力とは、立ち止まったり動いたりする時に、倒れないように姿勢を維持できる力のことです。これは感覚・脳からの指令・筋力などの要素で決まりますが、特に高齢者は筋力の低下が関係するといわれます。
運動器の病気
1) 股関節や膝の関節が変形する変形性関節症
2) 脊椎の骨の変形や椎間板の変性が起きる 変形性脊椎症 ~ 神経を圧迫して痛みやしびれなどが現れることがあります
(背骨の中にある神経の通り道が狭くなる 脊柱管狭窄症が起こることもあります)
3) 硬いはずの骨がスカスカになってしまう 骨粗しょう症
あなたはまだ大丈夫?
「ロコモ」は高齢者だけのものではありません。運動器の衰えや障害などの変化は、気づかないうちに少しずつ進んでいます。自分が今どのような状態にあるのか、「ロコチェック」を試してみましょう。
これらの項目はすべて、骨・関節・神経のどこかが衰えているサインです。1つでも当てはまれば、すでに「ロコモ」の可能性があります。
また、もう少し詳しく調べる方法に「ロコモ度テスト」があります。これには立ち上がりテスト、2ステップテスト、ロコモ25(25問の簡単なテスト)の3つのテストがあり、その結果からロコモ度を判定します。

高齢者だけの問題ではない「ロコモ」
国立長寿医療研究センターが取り組んできた「長期縦断疫学研究:NILS-LSA(ニルス・エルエスエー)」によると、40代から80代の被験者のうち、「ロコチェック」で何らかの症状がある人は、女性29.5%、男性25.7%でした。年齢が高くなるほどその割合は増えますが、40代でも、女性10%男性6%の人は何らかの症状があることが分かりました。
また、東京大学などの研究グループが行った研究に、40歳以上の人のうち、ロコモ度Ⅰ~Ⅲに該当する人の割合などを調べた「ROADスタディ」があります。この研究結果では、ロコモ度Ⅰに該当するのは44.7%、ロコモ度Ⅱは14.9%、ロコモ度Ⅲは10.9%となりました。年齢が上がるごとにその割合は増えますが、移動機能の低下は40歳前後からすでに始まっていることが分かりました。
働き盛りから「ロコモ」予防を
最初は小さな変化ですが、運動不足は筋力とバランス力の低下につながります。やせすぎや太りすぎも、筋肉や骨を弱くするといわれます。
今からできる予防策としては、「運動」と「食事」に分けられます。
運動では、少しずつでも運動器を動かして鍛えていくことです。こまめに歩く、階段を使う、スクワットや片足立ちなど、筋力とバランス力を意識した軽い運動を継続して取り入れましょう。

食事では、運動器に良い食べ物を意識して食べることが重要です。
筋肉や骨を強くするカルシウム、たんぱく質、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンB6とB12、葉酸、マグネシウムなどを含めて摂れるよう、毎日の食生活をバランスの良いものにすることが大切です。

その上で「いつまでも自分の足で歩く将来」を目標に、適切な生活習慣を身につけていきましょう。すでに痛みや動かしにくさを感じている場合は無理をせず、必要に応じて医療機関を受診することも大切です。
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参考
国立長寿医療研究センター:ロコモティブシンドローム(ロコモ)をご存知ですか
日本整形外科学会:ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト ロコモONLINE
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団:のばそう!健康寿命 運動器の健康が元気のヒケツ
ご精読ありがとうございました!
