誰にでも起こりうる認知症。早めの対策で1日でも長く自分らしい生活を。
医療法人社団 こころとからだの元氣プラザ
統括所長 中村 哲也 監修
(元氣プラザだより:2025年9月号)
「認知症」という言葉が用いられるようになってから20年以上が経ちました。現在まで偏見や誤解解消のためのさまざまな施策が進められてきた一方で、この病気に対する「何もわからない」「何もできない」という考え方は根深く残っています。
毎年9月は世界アルツハイマー月間です。いま一度、認知症を自分ごととして考えてみませんか。
認知症とは
認知症とは、記憶や判断力といった認知機能が低下し、社会生活に支障を来すような状態のことです。2022年度の国内調査では、認知症の人は443万人と推計され、男性に比べ女性が多くなっています。認知症の前段階とされる軽度認知障害の人は559万人、そのうち年間10~15%が認知症に移行するとされています。
65歳未満で発症する「若年性認知症」の平均発症年齢は54歳で、2020年の報告では3.57万人とされ、女性に比べ男性の方が少し多い傾向にあります。
認知症の種類とその原因
脳の神経細胞を変化させる病気が原因と考えられ、次のようなものがあります。
※( )内は認知症全体における割合
「認知症によるもの忘れ」 と 「加齢によるもの忘れ」
誰でも年を重ねると、新しいことを覚えるのに時間がかかったり、記憶していたはずのことをなかなか思い出せなくなったりするものです。しかし、こうした「加齢によるもの忘れ」は、認知症とは異なります。一例を挙げてみます。
認知症の初期症状
認知症が疑われる症状として、次のようなものが挙げられます。複数該当する場合は、認知症初期症状かもしれません。

認知症の予防
認知症の原因となる病気によって、予防の方法は異なります。現時点で、認知症を確実に予防する方法は確立されていませんが、多くの研究が進んだ結果、壮年期からのさまざまな良い生活習慣や活動に効果がある、または効果の可能性があるとして、「認知症発症およびその進行を遅らせる」ことを目的に、次のようなことが挙げられています。

新しい認知症観「認知症基本法」
2024年1月に施行された認知症基本法(正式には「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」)は、誤解や偏見の目にさらされてきた認知症を、社会全体で正しく理解し支え合うための新たな一歩として位置づけられた、共生社会の実現を目指すための法律です。
この法律では、認知症の方やご家族の思いに寄り添い尊重する姿勢が根幹に据えられ、支援の在り方も見直そうという取り組みがなされています。さらに、相談体制や地域の特性に沿った支援環境づくりも盛り込まれ、認知症の人や家族が安心して暮らせる社会づくりが進められようとしています。こうした認知症に特化した法律は、実は世界でも日本が初めてです。
認知症は何もできなくなる病気ではなく、工夫しながらできることを続け、自分らしい生活を重ねていける状態です。そんな前向きな「新しい認知症観」を社会全体で共有し、支えていくことが、これからの大切な取り組みといえるでしょう。
終わりに
早い段階で認知症(の兆候)に気づき、適切なサービス(医療や介護)につなげることが大切です。日ごろから体の状態を把握し、変化にいち早く気づくためにも、定期的な健康診断や人間ドックに加え、認知機能検査を取り入れてみるのもおすすめです。
また、認知症のもの忘れと加齢によるもの忘れは、ご自身やご家族では区別がつきにくいかもしれません。いきなり専門医への受診はハードルが高いと感じる方は、健康診断の問診時に担当医にお話ししてみてはいかがでしょうか。
当法人では2024年5月より、人間ドックのオプション検査で認知機能検査2種類を受け付けています。
▶アドバンスド脳ドック
頭部MRI・MRA検査と合わせて、記憶や学習にかかわりの深い「海馬」領域を追加で撮影し、AI(人工知能)が海馬体積を解析します。
▶MCI(軽度認知障害)スクリーニング検査プラス
病態進行に関わる「栄養系タンパク質」「脂質代謝系タンパク質」「炎症・免疫系タンパク質」「凝固線溶系タンパク質」の血中量を測定することで、将来 MCIになりやすいか、また既にその可能性があるか調べます。
関連情報:
当法人の過去の認知症セミナーをご紹介してます。
▶シリーズ「認知症-超高齢社会を見据えて、今から始める予防策」 第1回 認知症と口腔衛生
▶シリーズ「認知症-超高齢社会を見据えて、今から始める予防策」 第2回 認知症と糖尿病・メタボ ~人生100年時代、あなたは大丈夫?~
▶シリーズ「認知症-超高齢社会を見据えて、今から始める予防策」 第3回 認知症と高血圧
ご精読ありがとうございました!

