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健康コラム

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唯一セルフチェックで早期発見ができる乳がん~乳房に向き合う時間が私を守る

医療法人社団 こころとからだの元氣プラザ

副所長、婦人科医 大村 峯夫 監修

(元氣プラザだより:2024年10月号)

乳がんとは

乳がんは乳房の中にある乳腺にできるがんです。近年では乳がんの罹患率が急速に増え、日本人女性の9人に1人は、生涯のうちに一度以上乳がんになるといわれています。
乳がんは20代から発症しますが、30代後半から急に患者数が増え、特に30代後半から50代までの子育てや仕事で忙しい世代の女性のがん患者の中では、乳がんの患者数がもっとも多くなります。厚生労働省の統計によると、2020年に日本で乳がんになった女性は9万人以上。世界での乳がん罹患者は年々増加傾向にあるといわれています。米国のデータでは、男性も生涯を通じて1000人に1人が乳がんに罹患するとされています。
乳がんは、脳や肝臓、骨、肺、など離れた場所にも転移しやすい性質があり、早期発見・早期治療が重要です。大切なのは、小さな違いに気付くこと。入浴時などに乳房をよく観察し、いつもとは違う見え方、触れた感じなどに気付くことができれば、自分自身でがんを見つけることができるかもしれません。

乳がんの原因、発症のリスク

乳がんの原因は、はっきりとは分かっていませんが、乳がんの発生や増殖には性ホルモンのエストロゲンが関係しているため、次のような方は乳がんのリスクが高いといわれています。
 ● 初経年齢が早い方
 ● 閉経年齢が遅い方
 ● 出産や授乳の経験が無い方
 ● 初産年齢が遅い方
 ● 閉経後に肥満になった方
 ● お酒が好きでよく飲む方
 ● 良性の乳腺疾患の既往がある方
 ● 親兄妹(姉妹)が乳がんになった方

男性の乳がんは、胸部や乳房に放射線療法を受けた経験や、何らかの理由で体内の女性ホルモンの量が多いこと(クラインフェルター症候群・肝硬変など)が危険因子となります。

乳がんは遺伝するの?

乳がんのほとんどは環境因子の影響によるものですが、5~10%は遺伝性であるといわれており、家系内に乳がん罹患者がいる場合は乳がんの発症リスクが高くなります。遺伝性乳がんはすべての血縁者に遺伝するわけではありませんが、遺伝の可能性があるかどうかを知っておくことは、ご自身だけでなく、ご家族の健康を管理するためにも重要なことです。
男性の場合、乳がんになったことのある近親者がいる方が乳がんを発症する確率は、そうではない方の2倍になるといわれています。

ブレスト・アウェアネスで、早期発見を

ブレスト・アウェアネスとは、「乳房を意識する生活習慣」という意味です。正確に実践しなければという気持ちは捨てて、気軽に乳房をチェックする、と考えてみてください。
ブレスト・アウェアネスには、4つのポイントがあります。
 1. 自分の乳房の状態を知る
 2. 乳房の変化に気を付ける
 3. 変化に気付いたらすぐ医師に相談する
 4. 40歳になったら2年に1回乳がん検診を受ける

乳がんは唯一、セルフチェックで早期発見ができるがんでもあります。まずは自分の乳房の状態を知ることから始めましょう。乳房を観察し、乳房に触れることを習慣化できれば、小さな変化にも気付くかもしれません。

<乳房の変化を見つけるポイント>
乳がんの症状は主に乳房の「しこり」ですが、しこりを見つけ出すのではなく、いつもとの違いはないかなという気持ちで行うとよいでしょう。閉経前はホルモンのバランスが乱れ、乳房に張りや痛みなどが見られることがあります。ほかにも、乳房のくぼみ、乳頭や乳輪のただれ、乳頭から分泌物が出る、乳房の形が非対称になるなど、少しでも「おかしい」と感じた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

<自分で乳房チェック>
   

乳がんの検査

乳がんの検診には主に下記の方法があります。
一般には、医師による視触診に加えて、マンモグラフィと超音波検査の両方を行うのがベストです。それぞれの検査方法には長所と短所があるため、組み合わせて診断すると精度が上がります。
20代 30代の乳腺濃度の高い方は、マンモグラフィでは所見が見つけにくいことがあり、超音波検査をお勧めします。
 

<視診>

目で見て、乳房のくぼみや乳房の形の左右の差、乳頭からの分泌物の有無を確認します。
 

<触診>

乳房からわきの下を指で触り、しこりの有無を確認します。
 

<マンモグラフィ>

乳房専用の装置を使ったX線撮影です。
乳房全体が写し出されるように2枚の板の間に挟み薄く伸ばして、片方の乳房につき2方向(頭尾・内外側斜位)から撮影します。


【長所】
・視触診だけでは発見できないような小さなしこりや、ごく早期の乳がんのサイン(石灰化)を拾い上げる事ができます。

【短所】
・乳腺密度の高い方(若い方に多い)ではX線の特性上、しこりが見つけにくいことがあります。
・最近のマンモグラフィ機器は改良されているものの、乳房を平たくして挟むので少々の痛みを伴うことはあります。
・少量のX線の被曝があります。1回の撮影で乳房が受ける放射線の量は、東京からニューヨークへ飛行機で行くときに浴びる自然放射線の量のほぼ半分です。
 

<超音波検査>

超音波を乳房の表面にあてて、その反射を画像化して確認する検査です。


【長所】
・マンモグラフィと同様、手に触れないしこりを拾い上げることができ、さらにしこりの内部まで見えるので、しこりの性質、周囲のリンパ節への転移の有無を調べることができます。
・乳腺の密度に画像は影響を受けないので、乳腺の発達している若い方でも所見を見つけ出すことができます。
・痛みもなく、放射線被曝もないため妊娠中の方も検査を受けることができます。

【短所】
・超音波検査を追加することで、マンモグラフィで病変が見つかりにくい高濃度乳房の方もがんが発見されやすくなりますが、結果として、がんではないものに対して精密検査の指示が出る頻度も上がります。
・早期の乳がんのサインである石灰化をみつけるのは不得意です。

あなたの乳房と命を守るために大切なこと

乳がんは、早期に発見できれば90%が治るというデータがあります。また、早期発見なら乳房が温存できる可能性も高まり、治療期間が短くなることで治療費の負担も軽くなります。乳がんは、早期発見ができれば怖い病気ではありません。

ただし、早期の乳がんは症状がほとんど現れないため、自分の乳房と向き合い、日常的に乳房に触れて観察する習慣を持つことが大切です。
定期的な超音波検査やマンモグラフィといった画像診断は、乳がんの早期発見にとても効果的です。自覚症状がない今だからこそ、ぜひ定期的な検診を受けましょう。それが、あなた自身の乳房と命を守るための大切な一歩です。


当法人では、乳がん検診の再検査・精密検査を中心に、乳腺症、乳腺線維腺腫などの検査やフォローアップをしています。
乳房に気になる症状がある方、症状はないけれど検査しておきたい方なども、お気軽にご相談ください。

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