心筋梗塞と狭心症の違いって?
医療法人社団 こころとからだの元氣プラザ
循環器内科医 工藤 綾子
(元氣プラザだより:2024年2月号)
冬の寒い季節になりました。この季節になるとテレビや新聞などで聞く機会が増える心筋梗塞、狭心症という病気があります。
どちらも心臓の病気ですがどのような違いがあり、どのような注意で予防できるのかご存じでしょうか?
心筋梗塞とは
心臓を栄養する動脈は大きく分けて3本あり、その心臓を覆う形状から冠動脈と呼ばれています。心筋梗塞はこの冠動脈が何らかの原因(血管にできた油の塊が破れる、心臓でできた血の塊が飛んでくるなど)で詰まってしまい、心臓の筋肉に栄養や酸素が供給できなくなるために壊死してしまう病気です。
心臓という大事な臓器の筋肉ですから、壊死してしまう範囲が広ければ心臓が止まってしまいますし、治療がうまくいってもその後遺症(心不全、不整脈など)とうまく付き合っていかなければならない恐い病気です。強い胸の痛みが続く場合にはすぐに医療機関を受診しましょう。
狭心症とは
対して、狭心症では冠動脈は完全には詰まっていないものの、何らかの原因で血液の通るスペースが狭くなる病気です。血管の動脈硬化が進むことで壁に油の塊ができて狭くなるタイプや、 血管自体がけいれんして狭くなるタイプなどがあります。典型的な症状のひとつとして、坂道や階段をのぼるとき、またストレスがかかったときなどに”ぎゅっ”と胸が締めつけられるような感覚が数分続くことがあり、この場合は要注意です。心筋梗塞と違い、症状が15分以上続くことはありません。
どんな治療法がある?
治療には大きく分けて3つの方法があります。いわゆるメスを使って外科的に血管を新しく繋ぎ直すバイパス手術、細い器具を使って血管の内側から治療を行うカテーテル治療、そして薬物療法です。血管の様子をいろいろな方法で評価しながら、最適な治療法を選び、時にはそれぞれを組み合わせながら治療を行っていきます。
予防するにはどうすればいい?
心筋梗塞・狭心症はともに血管の病気で、どちらも血管の動脈硬化が進行することで詰まったり狭くなったりします。動脈硬化が進んでしまう原因として高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病、そしてタバコや肥満などが挙げられます。禁煙に加え、健康診断でしっかりこれらのリスクがあるかどうか確認し、早くからリスクを減らしていくことが大切です。
ご精読ありがとうございました!