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健康コラム

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便潜血検査陽性と言われたら・・・

医療法人社団 こころとからだの元氣プラザ

消化器内科医 中河原 亜希子

(元氣プラザだより:2023年8月号)


人間ドックや健診のときに行っている便の検査は、何を調べているかご存じでしょうか。これは、便潜血検査といって、大腸がん検診として広く用いられている検査です。
目に見えない微量の血液(潜血)が便に混じっていないかを調べています。

この検査では、便の採り方で結果が変わってしまうことがあるため、注意が必要です。例えば、トイレの洗浄水が便にかからないようにすること、便の表面を広くまんべんなくこすること、適量を守ることなどがあります。また、提出日まで冷蔵庫等で保管することも大切です。月経時には便に経血が混じりやすく、潜血陽性となる可能性が高くなります。

2回提出した便のうち、1回でも陽性となった場合、どうすればよいでしょうか。
「便潜血陽性で要精査となったが、2回中1回だけなら大丈夫なのではないか?」
「もう一度便潜血検査を行い、陰性となれば精密検査は必要ないのではないか?」
「原因は痔だと思うので、精密検査の必要はないのではないか?」
このような声を診察室でよく耳にします。本当にそうなのでしょうか。結論から言うと、便潜血検査を何回受けても、そのうち1回でも陽性であれば、大腸がんの可能性はありえます。ですから、精密検査が必要となるのです。検査として、最も有効と考えられているのは、大腸内視鏡検査です。この検査では、大腸内に病変がないかを確認し、必要があれば組織検査や、ポリープがあった場合に内視鏡治療をすることが可能です。

便潜血陽性者のなかで、大腸がんが発見される割合は5%と言われています。そのうちの60%ほどが早期がんです。大腸がん以外にも、切除の必要な大腸ポリープが見つかることもあります。このようなポリープを切除することで、その後の大腸がんのリスクを減少させることができます。大腸がんでは、血便などの自覚症状を認めてから医療機関を受診した方の約80%が進行がんと言われています。ですから、無症状でも便潜血陽性となったら、医療機関を受診することが大切です。

最近では内視鏡検査の他に、大腸CT検査も行われるようになりました。この検査は大腸内視鏡と比較して、服用する下剤の量が少なくて済み、簡便な検査と言われています。しかし、病変が見つかった際は内視鏡検査が必要になる検査であること、日本では検査法、読影法などの標準化がすすんでおらず、施設により差がみられることが今後の問題点です。
 
日本において、大腸がんは増加傾向にあり、部位別がん罹患数は男性では前立腺がんに次ぐ2位、女性では乳がんに次ぐ2位です。大腸がんで死亡する危険性を減らすため、大腸がん検診はその有効性が検証されています。すべての大腸がんを発見することはできませんが、定期的に検診を受けることで、発見率をあげていくことが可能です。ただし、せっかく検診を定期的に受けていても、陽性になったときに受診をしなかったり、検査を受けないと、早期発見のチャンスを逃すこともあります。

検査のことなどで不安や疑問のある方は、消化器外来を受診なさってはいかがでしょうか。また、今回は便潜血が陰性であった方でも、今後も毎年検査を受けるようにしてください。
 
最後に、禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、運動、適正な体形の維持は大腸がんを含むがん全般の予防につながることが、研究により明らかになっています。この記事を読んで、ご自身のライフスタイルをもう一度見直してしていただけたらと思います。


ご精読ありがとうございました!

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