五月病と適応障害
医療法人社団 こころとからだの元氣プラザ
精神科医 吉澤 徹
(元氣プラザだより:2023年5月号)
五月病とは
春は、進学、就職、異動、引っ越し等環境の変化が多い季節です。
新しい環境に慣れるため人は無理をしてしまいがちです。
環境に慣れ始めたはずなのに、なんとなく億劫(おっくう)で学校や仕事に行きたくない、不安が強くなり気分がすぐれないなどの症状がこの時期出てくることがあり、古くから五月病として知られています。
五月病の正体は適応障害?
五月病は正式な病名ではないのですが、症状が近い医学的な病名として「適応障害」というものがあります。
過剰なストレスに反応して気分の落ち込みや、不安など色々な症状が出現する疾患です。どのようなことが過剰なストレスになるかは人によって違いますが、新しい生活や環境の変化は多くの人にとってストレスとなりうるため、この時期に多いのかもしれません。
適応障害の治療法
適応障害の症状は「うつ病」と見分けがつかない抑うつ状態、「不安障害」や「パニック障害」に類似の不安症状パニック症状等があり、治療も上記疾患に準じた治療を行うことがあります。まずはストレスと考えられる要因から離れ、ゆっくりと休養する事が重要ですが、場合によっては簡単には離れられないストレス因もあり、その場合は個別に対応を考えていく必要があります。
五月病かなと思ったら
現代社会に生きる私たちは、毎日多くのストレスや嫌な出来事に遭遇しながら生きています。
健康な状態であれば、嫌なことがあってもぐっすり寝れば翌日にはスッキリしているかもしれません。でも、気分がすぐれないことが数日続いたり、仕事や生活に支障をきたすほどの場合は、医療的なケアが必要な場合もあります。
今回は五月病、適応障害を取り上げましたが、症状が似ている「うつ病」「不安障害」「神経症」等、見分けがつきにくい病気もありますし、実は体の病気で症状が出ているといった場合も考えられます。
体の病気と同様、こころの病気も早期発見、早期治療が大切ですので、気になる症状があれば早めに専門科への受診をお勧めいたします。
ご精読ありがとうございました!