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健康コラム

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シリーズ連載「作ろう!適正飲酒の生活習慣 その1」(全3回シリーズ)

医療法人社団こころとからだの元氣プラザ

学術特任顧問 及川 孝光

(元氣プラザだより:2020年10月号)


私は、お酒というものはクルマと同じだと思っています。クルマは大変便利で、私たちの社会や生活になくてはならないものです。


しかし、使い方を誤れば大変な凶器となり、悲惨な事故を招いてしまいます。だからといって、クルマの利用をやめるわけにはいきませんし、クルマが悪いわけでもありません。問題は、クルマに乗る側にあるのです。同様に、私はお酒自体が悪いのではなく、それをコントロールする側の能力の問題だと思います。


適正飲酒の生活習慣を築き、お酒と上手に付き合っていくためにはどうしたらよいのか、産業医として多くの社会人の生活習慣を診てきた経験からお話ししたいと思います。


適量とはどのくらいか

お酒は、諸刃の剣です。適量であれば、お酒を楽しむことができますし、円滑なコミュニケーションのための有効な手段にもなります。健康面でも、適正飲酒者の循環器疾患発症が少なく、死亡率も低いという研究結果が多数発表されています。


しかし、血圧や糖尿病の薬の服用と同様に、いったん適量を超えてしまうと、大変なことになってしまいます。うまく付き合うためには、適量を守ることが絶対条件です。


では、適量とは具体的にどの程度のことをいうのでしょうか。


自分の飲酒耐性を知ろう

適量を知るためには、まずご自身の飲酒耐性を知ることが大切です。アルコール(エタノール)は、摂取後1~2時間後にほぼすべて吸収され、大部分が肝臓で代謝されます。


肝臓では、まずアルコール(エタノール)がアセトアルデヒドになり、次に酢酸になり、最後に水と二酸化炭素になります。このうち、いわゆる飲酒後の不快感の原因になるのは、アセトアルデヒドです。アセトアルデヒドを代謝する酵素ALD且2の働きが弱い、もしくはない人は、お酒に弱い体質です。日本人の約40%はこの体質だといわれています。すぐ顔が赤くなる人はこの体質なので、お酒は飲まないほうがよいでしょう。飲むとしても、自分が弱いということを自覚して最少量にすべきです。


お酒に強い方がよいかというと、必ずしもそうではありません。強い人は飲み過ぎてしまいやすく、結果として飲酒のさまざまな健康障害やアルコール依存症のリスクを抱えています。その点、お酒に弱い人は飲み過ぎないので安心です。


爽快期・ほろ酔い期にとどめよう

酔いには、ステージがあります(図表1)。


酔いのステージ表


基本的には、爽快期にとどめておきましょう。百歩譲って、許容できるのはほろ酔い期までです。その範囲にとどめておけば、健康的にお酒を楽しむことができます。そのための適正飲酒量が示されており、純アルコール量で10~20グラムです。これは、ビールなら中びん1本、日本酒なら1合にあたります (図表2)。

適正飲酒量表


ただし、気を付けていただきたいのですが、これはあくまで目安です。

性別や飲酒のスピード、食事の有無、そのときの体調や睡眠状態などで、適量は異なります。


なお、女性の適正量は男性の半分です。女性は体内水分量が少なく、かつ肝臓容積が小さいため、女性ホルモンの影響もあり肝臓が傷みやすく、短期間で依存症になりやすいのです。また、これらのデータはあくまで飲酒耐性がある方を念頭に置いていますので、お酒に弱い方は基本的に飲まないことをお勧めします。



お酒が抜けるまでの時間

飲んだアルコールが体内から完全に排出されるまで、皆さんが思っている以上に時間がかかります。


純アルコール量20グラムの飲酒をした場合、個人差はありますが、目安として完全消失に3~4時間は必要です。そして、それ以上に飲酒した場合の消失時間は掛け算で計算でき、40グラムで6~8時間、多量飲酒の基準である60グラムだと9~12時間になります。


お酒が抜けたという自覚があっても、実際にはお酒が残っていることが多いのです。そのような時に運転すると呼気テストでアルコールが検出され、罰則の対象になります。また、アルコールがクルマの運転や業務の精度を落とし、大事故を起こしてしまうかもしれません。仕事の前日は飲まないのがベストですが、飲む場合は細心の注意を払って適量に抑えてください。


ご精読ありがとうございました!


元氣プラザだより11月号掲載 -->シリーズ連載「作ろう!適正飲酒の生活習慣 その2」につづく

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