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健康コラム

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細胞診・HPV併用子宮頸がん検診について

医療法人社団 こころとからだの元氣プラザ 婦人科部長

日本産婦人科医会 がん対策委員会・副委員長 大村 峯夫

(元氣プラザだより:2017年3月号更新)


現在の子宮頸がん検診は主に細胞診を中心に実施されていますが、この子宮頸がんの発生についてはHPV(ヒトパピローマウィルス)が原因と考えられています。


細胞診による組織診断の図


このHPVは100種類以上ありますが、子宮頸がんと関係がある、いわゆるハイリスク群は13種類とされています。型別に、16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68型です。


このうち、16型、18型が最もがんに移行しやすいタイプで、日本人の子宮頸がんの約60%はこのタイプによるものとされています。HPVの持続感染がおこると前がん状態である高度異形成・上皮内がんが数年内に発生する可能性は十数%と報告されていますので、ハイリスク群HPVに感染していることが分かった場合は、特に慎重な管理が必要です。


累積進展率の表


ただ、HPVに感染すると全てが子宮頸がんを発生するというわけではなく、そのほとんど(約90%)が免疫力により自然治癒し陰性化します。10%前後が長期間持続感染してその一部ががんを発生するのです。


このHPV感染はどのようにして起こるかといいますと、そのほとんどがSEXによって感染します。すなわち、SEXを経験したことのある方は、一度は感染している可能性があるのですが、このHPVは性病ではなく、広く自然界に存在する雑菌という取り扱いです。また喉頭がんからもこのHPVが検出されていることから、オーラルSEXによっても感染は起こると考えられています。

これまで行われてきた子宮頸がん検診では子宮頸部細胞診が最も精度の高いスクリーニング法と考えられてきましたが、HPV-DNA検査を併用することで前がん状態の捕捉率が飛躍的に向上することが分かってきました。


細胞診・HPV検査併用検診の表


この場合のHPV-DNA検査は、がんと関係のある13種のHPVをハイリスク群として、このグループのHPVに感染しているか否かすなわち陽性か陰性かを判定するもので、個々のHPVの型を調べるものではありません。


また子宮頸がんのみに限って言えば、細胞診・HPVともに陰性の場合は受診間隔を3年にしてもその間に進行がんが発生することはないとの報告が多くありますので、受診間隔の延長も可能となります。(ただし子宮体がん、子宮筋腫、卵巣腫瘍に関しては毎年検診をお勧めします)


ただし、比較的最近性活動を開始したと思われる20歳代など若い年代の方は、一過性HPV感染がおこったばかりで陽性率が高いことが知られていますので、この年代の方は細胞診単独で毎年または隔年で検診することが勧められています。


HPV検査陽性率と細胞診以上率CIN2+率の表


こういった事情を踏まえて、日本産婦人科学会、日本婦人科がん検診学会等の学術団体や日本産婦人科医会などの検診を実行している団体では、子宮頸がん検診はHPV-DNA検査併用検診を強く推奨することにしており、当こころとからだの元氣プラザでもこの方針をすすめる予定です。


HPV-DNA検査はこれまでの子宮頸がん検診と同じ手技で同時に検査できますので、検診者様に余計な身体的なご負担をかけることはありません。

またHPV感染があるからといって全ての方がすぐ頸がんになるのではなく、また生活上の制限もありませんので、医師の説明・指示に従って検診をご受診ください。


このように精度の高い検診を高い受診率で実施し、一方でワクチンによるHPV感染予防処置を徹底すれば子宮頸がんに関しては激減すると考えています。


ご精読ありがとうございました!

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