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健康コラム

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「体動」のすすめ

医療法人社団こころとからだの元氣プラザ

巡回健診事業部長(医療担当)・内科医 村松秀樹


「運動をしましょう」と患者さんにお話すると、「時間がありません」、「運動はずっとしていないので出来ません」というお返事で、話が終わってしまうため、最近は「体を動かしましょう」と言い方を変えるようにしました。


運動習慣のない人は、疲れやすい、肩凝り、頭痛、便秘、寝つきが悪い、やる気がおきないなどの訴えが多いことが知られています。運動不足が、加齢に伴う筋力低下に拍車をかけます。体力の低下は、気力の低下にもつながります。普段の生活の中でどれだけ身体を動かせるか?そこを意識しないと、身体だけでなく脳にまで影響が及ぶのです。


まず、姿勢を正すところから始めましょう。不良姿勢が固まると肩凝り、腰痛はもちろん、頭痛、眼の疲れ、体の歪み、そしてストレス増加に繋がります。「背筋を伸ばせ」、「腹を引っ込めろ」、「お尻を閉めろ」、「顎を突き出すな」など様々な表現がありますが、「肩を後ろに引いて」というのがわかりやすいと好評でした。


立っていても座っていても肩を後ろに引くと、下っ腹(へそ下三寸といわれる「丹田」)に緊張が生まれ、骨盤が立ち、背筋が伸び、胸が開き、肩甲骨が寄り、頭が背骨の上に乗る意識が生まれます。両耳を結んだ線が、肩の線より前に出ないように頭を支えましょう。


正しい姿勢をする男性のイラスト


歩幅も年を重ねると狭くなります。姿勢が悪くなることが原因ですが、視野もまた狭くなります。足元を見つめることは大事ですが、見て確認しながら体を動かすと、逆に動きがぎこちなくなって、滑らかに素早く体を動かせない経験をされたことはありませんか。姿勢が良くなると遠くを見るようになり、歩幅も広がります。視線を10m、さらには15m先に送れると、自ずと視野も広がるはずです。


体力というと心肺機能や持久力を思い浮かべる方が多いようですが、問題は筋肉であり、筋肉量、筋力なのです。加齢により筋肉量、そして基礎代謝量(生命を維持するために必要なエネルギー)が減少していくため、若い頃と同じように食べ続けると摂取カロリーが消費カロリーを上回り、中年期の肥満となります。


そこで運動によりカロリーを消費し、筋肉の増量を図り、基礎代謝量を増やしていきましょう。そうすれば太りにくく、痩せやすい身体になります。特に下肢の筋肉量が減るため、「歩きましょう」となる訳です。


目標は1日1万歩です。速歩きや大股歩きも取り入れてください。体を大きく動かし、大きな筋肉にも刺激を入れましょう。意識して少しずつ体を動かして、そこから運動に繋げられれば効果は間違いなく上がります。


ウォーキングをする男性のイラスト


長い階段を見上げると私も溜息が出ますが、これは体のため、心のため、脳のためのトレーニングなんだと考え、登るようにしています。一段飛ばしで登ればさらに筋トレの効果は上がります。降りる時素早く降りられるようになれば、敏捷性・バランスのトレーニングになります。


運動は適度に行えば、身体を丈夫にし、精神を清め、知能を高めてくれる行為です。がん、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳血管疾患(脳梗塞、脳出血)、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、肥満、糖尿病、骨粗鬆症、うつ病や更年期を予防し、治療効果もあります。免疫機能を高め、ストレスにも強くなります。脳細胞が活性化し、記憶力・判断力・集中力などが向上します。


朝起きてから夜寝るまで、意識して身体を動かしましょう。洗顔、歯磨き、食事、座る、歩く、階段の昇り降りなど姿勢や動作を意識することで、体力低下や転倒を予防できます。日常生活における工夫と実践が重要なのです。

最後に恩師の言葉をご紹介します。「身体は動かさないと動かなくなる。」です。


*「体動」という言葉は、広辞苑や大辞林、南山堂の医学大辞典にも掲載されていませんが、医療の現場では意識レベルの程度、無意識下の身体の動きを表すものとして使われています。寝返りが粗体動、四肢の痙攣は細体動に分けられます。今回、運動をとにかく始めていただくために、「体動」という言葉を用いました。「スポーツ」の語源が身体を動かす、物を動かすというのもヒントになりました。

出典:『元氣プラザだより』2021年4月号


ご精読ありがとうございました!


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