コレステロール ~ 重要栄養素も「過剰」には注意
医療法人社団こころとからだの元氣プラザ
医療技術本部長 八巻悟郎
( 元氣プラザだより 2014年8月号更新 )
コレステロールは人間が生きていくうえで、なくてはならないものです。たんぱく質や炭水化物と共に、3大栄養素とも言われています。私たちのからだは細胞の固まりですが、この細胞の膜を構成するのがコレステロールです。60兆個にもなる細胞はこのおかげで成り立っています。細胞膜は外部から細胞内部を守る役割をしていて、リン脂質、たんぱく質、そしてコレステロールからできています。コレステロールは脳に全体の4分の1が存在します。脳一から体に正しい指令が出るのはこのおかげです。
もう一つの役割はホルモンの原料にもなっているということです。副腎では50種類ものホルモンが作られていますが、これを総称して副賢皮質ホルモンと呼んでいます。このほか、アンドロゲンという男性ホルモン、エストロゲンという女性ホルモン、プロゲステロンという黄体ホルモンなどもコレステロールが原料です。
また、食物の消化・吸収にも重要な役割があります。肝臓から排出される胆汁が食物中の脂肪の消化を助けていますが、この胆汁の原料にもなっているからです。これらのことから、コレステロールはからだにとって非常に必要であることがわかると思います。
血液中に溶けている脂質が過剰になった状態を、高脂血症といいます。LDLコレステロール値が高い場合は高コレステロール血症、中性脂肪が高い場合は「高トリグリセライド血症」、LDLコレステロール値と中性脂肪値の両方が高い場合は「複合型高脂血症」、HDLコレステロール値が低い場合は「低 HDLコレステロール血症」などと呼ばれています。
コレステロールが過剰になり、一番に心配されるのが動脈硬化です。この動脈硬化がきっかけとなって、さまざまな病気(脳梗塞、脳出血、心筋、梗塞、狭心症、間歇性跛行など)を誘発してしまうのです。
ご精読ありがとうございました!