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Vol.20 : 性感染症予防

性感染症は、実は身近な病気
大切な自分の身体は自分で守る


 最近、若い女性の性感染症の感染率が高くなり、しかも、低年齢化の傾向にあるとされます。性感染症は、実は身近な病気なのです。


● 性感染症って、どんな病気?
 性感染症(STD:Sexual Transmitted Disease)は、基本的にはセックスによるウイルスや細菌感染などで発症する病気です。セックスの経験がある人は、全てに感染の危険性があるのです。以下に挙げたものをはじめ、多くの種類があり、その症状もさまざまです。
 近年、性感染症は、初体験の低年齢化や、複数の異性との性体験など、性に関する意識の変化から、若い女性に増加傾向がみられます。中でも、クラミジア・トラコマティスという微生物の感染によって起こる、クラミジア感染症が急増しています。
 中学生や高校生の性体験者の約1割が感染しているというデータがあり、日本人の若者の30%が感染しているとも言われています。以前は、風俗店などで働く特殊な環境にある人の病気という印象を持たれていた性感染症ですが、いまや女子高校生や普通のOLもかかる身近な病気となっているのです。しかも女性の場合、不妊症や子宮外妊娠になりやすく、またエイズの感染を起こしやすくなるという事が言われています。

● 感染を予防する方法はあるの?
 セックスのパートナーが性感染症にかかっているかどうかを、一見して判断し、防御策なしで、感染を未然に防ぐ事はまず不可能と言っても過言ではありません。感染している本人でさえ気づいていない事がほとんどですし、パートナーの感染がわかった時には、すでに自分も感染していることが多いのです。
 つまり、感染のリスクを減らすには、セックスの際にコンドームを使う事しか有効な方法はありません。パートナーを信頼することと、コンドームを使うことは別の話です。先進諸国の中で、日本はコンドームの使用率が最も低いのが現状です。欧米の男性の方が性感染症の知識があり、女性に対するいたわりの気持ちの現われと思います。
 しかし、セックスの際、コンドームをつけていれば100%安全というわけでもないのです。ウイルスや細菌は、キスやオーラルセックスなどの行為でも感染しますし、傷口からの出血がつくことなどで感染してしまうこともあります。

【 性感染症(STD)の主な種類 】
  • クラミジア
    男女ともに自覚症状が無いのが特徴。女性は、突然の腹痛と発熱で、卵管炎や骨盤腹膜炎を起こし、不妊症や子宮外妊娠の原因に。
  • 淋病
    男性は排尿時の激しい痛みや尿道口から膿が出るなどの症状。女性はほとんど無症状で、わずかなかゆみ、おりものが増加する程度。
  • 性器ヘルペス
    性行為を通じて口や性器に感染、水泡や小潰瘍が生じ、ひどい痛みを伴う事がある。
  • 尖圭コンジローム
    ヒトパピローマウイルス(HPV)の主として6型の感染で、1〜3ヶ月後に性器や肛門周囲にイボができる。
  • 梅毒
    感染3週間ほどで丘疹ができ、その後は赤い発疹、コブのようなできものと進行し、最終的には神経が侵されてしまう。
【 STDではないけれど… 】
  • B型肝炎
    精液や血液が性器、口、肛門などの粘膜に接触する性行為、輸血などの血液感染などによって肝炎を発症。
  • 子宮頸がん
    80種類以上あるヒトパピローマウイルス(HPV)の中の16型、18型などの特定の種類の感染によって子宮頸部にできるがん。


● 早期治療をすれば完治できる?
 とは言え、必要以上に怖がる必要はありません。性感染症の多くは、早めに、的確な治療を受ければ、治癒率も高いからです。
 性感染症の症状は、病気の種類により様々ですが、かゆみやおりものの異常など、「何か変だな?」と感じた時点で早期に治療を受ければ完治できるものが大半です。
 しかし、ほとんど自覚症状がないままに悪化し、別の重い病気へと変化していくものもあります。また、性感染症ではないものの、性交渉でウイルスに感染し、子宮頸がんやB型肝炎などになる可能性もあるのです。


● 不安になったらどうすればいいの?
 何か変だと感じた際にはもちろんですが、少しでも不安に思ったら、まずは婦人科で検診を受けてみるのがよいでしょう。いくつかの性感染症のチェックを組み合わせた検査を受けることができます。万が一、感染していると分かったら、セックスやそれに準ずる行為を控え、パートナーにも検査を受けてもらうことが必要です。性感染症はデリケートな問題ですが、知識として知っておくことは、これからの女性のたしなみかもしれません。



当診療所 婦人科医・室谷哲弥
こころとからだの元氣プラザ婦人科。
日本産婦人科学会認定専門医。日本臨床細胞学会認定細胞診専門医。
日本婦人科腫瘍学会認定指導医。日本レーザー医学会認定指導医。
日本婦人科がん検診学会理事、日本がん検診診断学会理事など。
趣味はテニスと音楽。
丁寧な説明と温かい雰囲気で安心させてくれる先生です。

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室谷哲弥

●このコラムは株式会社マツモトキヨシ発行の「digimaga」に掲載されたものです●
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